第3回アンケート集計結果 – まとめ

今回の調査結果のまとめ

今回の調査は、105人の視覚に障害のある人からメールによる回答を得ました。その一部は聴覚障害も併せもつ人でした。回答者の性別は、男性が66人、女性が39人で、年齢では30歳から70歳までの人が95%を占めています。30歳未満と80歳以上の人は、それぞれ3人でした。一番、多かったのは50歳代の人で、29人(27.6%)でした。調査は電子メールによるアンケート実施であったため、94.3%の人がパソコンを所持しており(質問9)、視力が0.05未満の人が97人(83.6%)を占め、83.8%の人がスクリーンリーダーを所持している(質問9)というように、回答者はパソコン使用にスクリーンリーダーを使っている低視力の方が中心を占めていました。

現状では、食品・日用品の表示、家電製品などの使用方法、すみ字文書の確認とも晴眼者に依頼するがもっとも多く、8割を占めていました(質問1.2.3.の回答D)。使用方法はメーカーや販売店に問い合わせるという回答も56.2%と多く(質問2.E)、全体的にはやはり、他の人を頼りにしていることが、浮かび上がりました。ただ、すみ字文書ではスキャナ利用も48.6%を占めており(質問3.C)、自分で読めるならば多少、面倒であってもパソコンを活用して自分で読もうとしていることが覗えました。

ただ、ホームページに関しては、検索でなかなか見つけられない問題やタグや広告がホームページの先頭にたくさんあって、肝心の本文にたどり着くまでに時間がかかる、というように、スクリーンリーダーで読み上げた時の問題点が指摘されました(質問4)。ホームページに関するこうした意見は、いろいろな所で議論されていますが、視覚障害者用に配慮したホームページはまだ少ないのが現状です。

PDFファイルは、スクリーンリーダーで読み上げにくいという声が多く、特に問題はないとした人は20%にとどまりました(質問5)。また、セキュリティがかかっている場合はスクリーンリーダーでは読み上げることが難しく、不満が出ていました。

質問6と質問7では、紙に書かれた文字を読ませる場合について尋ねました。スキャナで読ませ、OCRソフトを使用する場合、50.5%の人が「認識される範囲で読んでいる」と答えており、「誰かに修正してもらう、または入力を依頼する」という回答も12.4%、ありました(質問6)。さらに、読めない文書は身内に依頼するが79.0%を占め、「身内」「知人」「ヘルパー」のどれかを挙げた人は全体の93.3%に上りました(質問7)。OCRの認識される範囲で読み、読めない部分は近隣の人を頼りにしている、という様子が、これらの回答から浮かび上がりました。

商品について、販売店やメーカーに問い合わせた場合は、「まあまあ納得できる対応がされている」という声が52.4%占めていましたが(質問8.E)、反面「納得できる対応がされない」(21.0%)、「どこに問い合わせてよいか判らない」(7.6%)という声もあり、不満を持っている人もいました。近年、メーカーの問い合わせ窓口も改善してきてはいますが、まだまだ十分とはいえないようです。

質問10、質問11で望ましい情報提供のデータ形式を尋ねると、やはり、テキスト形式という声が圧倒的に多く、質問11でPDFを挙げる人は少数でした。ただ、生活情報に限ると、Eメールでの提供を挙げた人が84.8%に上り、どこでも素早く手に入れることができるEメールの優位性が示されていました。

質問12でどのような情報を希望するかを尋ねたところ、「家電製品の取扱説明書」が一番多く、84.8%の人が希望していました。次いで、「日用品や食品の使用方法」(70.5%)、「家庭に送られてくる郵送物」(64.8%)、「医薬品の用法・用途」(62.9%)、「製品カタログや案内パンフレット」(58.1%)と、生活に関する項目はどれもニーズが高いことがわかりました。中でも家電製品の取扱説明書や日用品や食品の使用方法など、より生活に密着し、必要性が高いと思われる項目に多くの希望が寄せられていました。

それ以外にも、質問13、質問14で、多種多様な情報に対して情報が不足していることが判りました。こうした多種多様な生活に関する情報を、必要な時に必要な形式と手段で得られるような仕組みがあれば、視覚障害者の情報障害を幾分でも軽減することにつながります。そうした仕組み作りが望まれています。

最後に、アンケートに回答くださいました皆様に、深く感謝いたします。

アンケート結果は、トップと、質問1から質問14(ページ1からページ4)、まとめのページがあります。
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